つながり

 僕にとっての日本酒の始まりは、東北だったのかもしれない――

 旅をすると、その地域の料理を食べ、お酒を飲む。
 いまの僕にとって、これは旅をする目的の1つになっている。

初めての東北


 2011年の夏に、初めて東北へ行った。
 大阪から、ボランティアバスが出ていた。
 怒られるかもしれないけど、ボランティアと言っても、『東北のため』という感情よりは、どれだけ被害があったのか「見たい」とか、「知りたい」とか、つまりは『自分のため』だったと思う。

 ボランティアばかりが支援ではなくて、たとえば、東北のお酒を飲むだけでも、支援に繋がるという情報は持っていたけど、下戸だったので、東北ではお酒を飲まなかった。

 このときに見た光景がまだ、目に焼き付いている。
 思い出すたびに、胸がきゅーっとなる。生きなきゃと思う。

 僕はまた、この場所に帰ってくるだろう。

2度目、3度目の東北


 2014年の夏にまた、東北を訪れた。しかも2回。
 僕は帰ってきたのだ。
 このときにはすでに、日本酒を飲めるようになっていた。とはいえ、いまほど大好きでもなくて、知識も全くなかった。
 東北まで来たから、せっかくだし飲んでおこうかな、くらいの気持ちだ。

 東北で獲れたメイプルサーモンを肴に、福島の地酒セットを飲み比べ。

 このときが、僕にとって、東北のお酒初体験。
 東北のお酒って、こんなにおいしいんだ。

 東北で獲れた魚って危険なの? なんて言われていたけど、はっきりと言える。
 安全だ。それに、なにより、めっちゃおいしいんやから。
 メイプルサーモンは口の中ですぐにとろけた。

初めての酒蔵見学


 酒蔵見学へ行ったのも、このときが初めて。宮泉酒造さん

 日本酒好きのおじいちゃんに、ヒノキだったかな? のお猪口を。お漬物好きのおばあちゃんに、お漬物をお土産で買って帰った。
 おじいちゃんが亡くなったとき、お棺にそのお猪口を入れた。気に入って使ってくれていたから。

 帰り際、バスの時間まで、まだ時間があったので、また東北のお酒飲み比べセットを頼んだ。
 いつの間にか僕は、東北のお酒の虜になっていたのだ。 

 お酒を飲むだけで支援に繋がるんなら、もっともっと飲みたい。
 これも『東北のため』ではなくて、おいしいお酒を「飲みたい」という『自分のため』だ。

 でも、それでいいと思う。

「ボランティアとは」なんて、だれが決めたか分からない定義を口先だけで語ってなにもしないよりは、全部自分のためにやったことが、結果的に支援に繋がっているほうがいいし、もしそれが支援に繋がらなくも仕方ない。自分のためにやっているだけだから。


 日本酒作家になるなんて考えていなかったのだけど、この東北での経験が、いまの僕の原点と関わりがあることには違いない。

 今夜は、東北のお酒を飲もう!
 それが支援になろうが、ならまいが、僕はただ、東北のお酒を飲みたいだけだ。

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