パン、パン、酒、パン

 みなさんは、『マネーの虎』をご存知だろうか?
 志願者(一般人)が、社長(投資家)に、希望額のマネーを投資してもらおうとプレゼンテーションする様子を映した12,3年前に大人気だったテレビ番組だ――。

 ある回で、「『パンしか出さないレストラン』を開きたい」という男性の志願者がいた。
 ……気になる人はYouTubeで検索!

 残念ながら、マネー不成立になってしまったのだが、番組の中で志願者が作ったパンは、実においしそうだった。
 彼が提案していたメニューの1つは、「ビールに合うパン」というもの。
 ごま油、バター、ねぎが入ったパンをトースターで炙り、上に粗塩をまぶすことで、ビールのおつまみになるようなパンができるという。

 実際に社長さんたちが、そのパンをおつまみにビールを飲まれていた。
 「たしかに、ビールと合いますね」という人と、「全然おいしいと思わない」という人と賛否が分かれたのだが、僕個人としては、おもしろい視点だと感じた。

 料理が主役でパンはおまけ。といった概念から、パンを主役にお酒を楽しむという発想が素晴らしい。

パンと日本酒

 食事における日本酒の位置づけとして、「料理を引き立てるもの」なんてことがよく言われる。
 その位置づけは正解だと思うし、賛成なのだけど、それだけじゃないとも思う。
 日本酒が主役で、料理が引き立て役にまわることがあってもいい。

 最近では、和食だけじゃなくて洋食にも合わせてみよう! といった、マリアージュという概念も広く知られるようになってきた。

 そんなわけで僕は、『日本酒が主役となるように、パンと合わせてみよう』と考えた。
 近所のパン屋さんで、なんとなく日本酒に合いそうな「ゴボウとツナサラダの黒ゴマパン」、「ツナチーズパン」を購入。

 まずは、『倉本酒造 菩提酛仕込純米つげのひむろ』と合わせてみた。

 うん。どちらもよく合う! 日本酒が引き立った。
 特に、ゴボウやツナといった、食欲をそそる味付けのものが、おつまみとして機能している。
 惣菜パンはパンだけど、たとえるなら、「おかず」だな。

 次に、『三芳菊酒造 黒猫ラベル』と合わせてみた。黒猫がおいしそうにパンを見つめている。

 こちらは、あまり合うようには思えなかった。
 ゴボウやツナの塩味が、日本酒の甘さとうまくハーモニーできていない。
 ちなみに、僕の中では、『三芳菊 黒猫ラベル』は、最高の食後酒だと思っている。デザートとして飲むのに最高だ。


 では、『三芳菊 黒猫ラベル』は、料理に合わないのかというと、そういうわけでもない。
 デザートはデザートと同調させてしまおう。
 「マシュマロの酒粕漬け」なり。

 酒粕に漬けることで、さらに甘みの増したマシュマロに、日本酒の甘みがめちゃくちゃ合った!
 少しの工夫で、脇役だった日本酒が主役にもなるのだ。

 結論。
「『脇役は、主役を引き立てることで、主役になる』というパラドックスが起こる」

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